iPhoneは「最速で売れた携帯ゲーム機」か
僕がゲームを好き、って思えるようになったきっかけは間違いなく幼稚園の時の「スーパーマリオ64」だけれども、もっと根深くゲームを考えたのはもう少し後のこと。
現代に生きる僕達たちが毎日持ち歩く、手塚治虫もびっくりのあのデバイスは、果たしてゲームとなりうるのか。
当時
たぶん僕、小林竜司が中学2年生くらい、つまり世間一般ではウォーターボーイズブームが落ち着いてきた頃。
ドコモがFOMAのサービスやパケホーダイを開始して、当時の中高生がケータイを手放さずにメールを打ちまくっている頃。
僕はパカパカケータイ握りしめてゲームやりまくってた。
↑これかこれ→
ドコモの月額無料サイト「無料ゲーム大集合!」でありとあらゆるゲームをダウンロードしまくってたあの頃。
友人が「俺はドッキング」の全一だったことを思い出す…。
ずば抜けて面白いゲームが2つ。
「InQuestOfPower」
「ゲーム発展途上国」
それぞれシンプルな構成のRPGとシミュレーションで、それぞれすごくおもしろい。
インクエは超絶サクサク進む展開や異常に早く設定できる移動速度、戦闘テンポなんかが気持ちよい。
ゲーム発展途上国はシミュレーションとして最低限シンプルに要素をまとめてあって、かつゲーム制作会社という設定が胸を熱くする。
そんな感じのゲームなんだけども、当時僕はこれらのゲームからはっきりと「人間がつくった」という印象を受けた。
つまり、どこかの会社がババーン!と発売してくるゲームとかと違って、生々しさを感じた。
今思えばそれもそのはず、インクエはアプリコンテスト四国優勝というほとんど素人同人ゲーで、ゲーム発展途上国の方はといえば現在でも
「従業員数 おおむね9名くらい(人類)」
というイカれた記述のウェブサイトを構えるカイロソフト社の代表作である。
僕たち64~PS2世代は「人間がゲームを作っている」という当たり前のことを感じるには、あまりにもゲームが発達しすぎていたし、そんなことも考える暇もないほど次々に新作ゲームが発売されていた。
そんな中プレイしたこの2つのゲームは僕のルーツの1つだ。(2つなのに1つとはこれいかに)
なんとも思い出深い携帯アプリゲームの数々。ここには挙げていないがもっと遥かたくさんのアプリが僕の思い出を彩っている。
ガラケーをなかなか手放さなかった理由のうち、携帯アプリゲームの存在は間違いなく大きかった。
寂しい。
現在
スマートフォン全盛期、いや歴史に名を残すiPhoneの爆発的人気。
スティーブ・ジョブズのその言葉。
「iPhoneは世界で最も売れたゲーム機である(みたいなかんじのこと)」
そしてiPhone 4は「最速で売れた携帯ゲーム機」としてギネスに認定された。
納得がいかなかった。
「おい、お前が手にしているそれはスマートフォンだ。電話だ。ゲーム機じゃねえぞ。そんなことが許されるなら、ゲーム機能付きの時計だってゲーム機……ハッ!!!ゲーム&ウォッチ……いやあれは確かにゲーム機だけど……でもでも……」
でもしかたがない。認定されちゃったんだもん。
iPhoneもといAppStoreでは日々新作ゲームが発売され、ダウンロードされ、時間の隙間にプレイされている。
次々と登場する玉石混淆のゲームたち。しかしそれは確かに玉石混淆で、間違いなく「玉」も含まれていることに、僕は気づいてしまった。
僕が当初iPhoneゲームへ持っていたイメージは例に漏れず「はいはい直感操作パズル楽しいでちゅねー」もしくは「PC洋ゲームの真似事すごいでちゅねー」だった。
しかしスマートフォンは携帯電話の系譜をもつデバイスである。
なぜ僕はそんなイメージを持っていたのか。
間違いなくスマートフォンは、携帯アプリゲームの系譜を継ぐ唯一のデバイスである。
僕は当時あの無料ゲームたちを、まさに家で遊ぶゲームたちと分け隔てることなく「ゲーム」として愛していた。
それをいつのまにかコンシューマはコンシューマ、スマホはスマホはいはい女子ゲーね(笑)なんて考えていた。